プチ税務!車両の売却の時期はいつになりますか?

2017 / 08 / 14

起業・創業を支援する品川区の税理士・ベンチャー支援税理士法人が創業した社長へお届けする税務のプチ情報です。

今回のテーマは、「車両の売却の時期はいつになりますか?」です。

こんな相談を受けました。
今利用している車両を下取りに出して、新車を購入することとしました。
当社は8月決算の会社で、利益がでそうなので8月に車両の購入する契約を結ぶとともに、
今まで利用している車両を買い取り(下取り)をお願いしました。
売買契約日が8月10日になりましたが、新車が納車されるのが9月30日になるとのことです。
そこで、この車両の購入はいつになるか?車両の売却はいつになるか、
という問題です。

法人税基本通達では次のように公表されています。
(固定資産の譲渡による収益の帰属の時期)2-1-14

固定資産の譲渡による収益の額は、別に定めるものを除き、その引渡しがあった日の属する事業年度の益金の額に算入する。

ただし、その固定資産が土地、建物その他これらに類する資産である場合において、法人が当該固定資産の譲渡に関する契約の効力発生の日の属する事業年度の益金の額に算入しているときは、これを認める。
(昭55年直法2-8「六」により改正)

つまり、原則は、車両の売買契約を結んだ日ではなく、納車・引き渡しがあった日に売却・購入する処理をすることとなります。
したがって、8月決算の会社が駆け込みで8月10日に売買契約を結んでも、その売却・購入の処理は、引き渡しがあった日の9月30日となります。

ここで引き渡し日とは何かを確認します。

(引渡しの日の判定)
資産の引渡しの日がいつであるかについては、
・出荷した日
・相手方が検収した日
・相手方において使用収益ができることとなった日
・検針等により販売数量を確認した日
資産の種類及び性質、その販売に係る契約の内容等に応じその引渡しの日として合理的であると認められる日
によるものとする。
この場合において、資産が土地又は土地の上に存する権利であり、その引渡しの日がいつであるかが明らかでないときは、次に掲げる日のうちいずれか早い日にその引渡しがあったものとすることができる。
(昭55年直法2-8「六」により追加)
(1) 代金の相当部分(おおむね50%以上)を収受するに至った日
(2) 所有権移転登記の申請(その登記の申請に必要な書類の相手方への交付を含む。)をした日

そこで、どうしても8月の決算に間に合わせる場合は、

ただし、その固定資産が土地、建物その他これらに類する資産である場合において、法人が当該固定資産の譲渡に関する契約の効力発生の日の属する事業年度の益金の額に算入しているときは、これを認める。

ということも例外で認められています。
ただ、契約日だけでは実際にその日に契約があったかなどで信憑性が弱いため、
上記50%以上とは言わないまでも5~10万円でも手付金を支払っておくことで、契約日に処理することもできるわけです。