プチ税務!部分的な完成部分の売上の計上基準の方法については?

2017 / 11 / 25

起業・創業を支援する品川区の税理士・ベンチャー支援税理士法人が創業した社長へお届けする税務のプチ情報です。

今回のテーマは、「部分的な完成部分の売上の計上基準の方法については?」です。

こんな相談を受けました。
大手通信工事会社の下請なのですが、工事期間は6月程度を要するものが多く、工事代金は請負工事が完成するまでの間、毎月末に工程ごとに請求書を提出し、請求の翌月にその80%を入金することになっています。
今期は、期の後半にこれらの工事の受注が集中したため、例年に較べ、未成工事が多く、完成工事が非常に少なくなってしまいます。
そこで、請負契約に係る工事等の全部が完成していない工事のうち、一部の工事について、部分完成基準を適用したいと思いますが、部分完成基準による収益の計上をどのように考えたらよいのでしょうか。

請負による収益の計上時期は、原則として物の引渡しを要する請負契約にあってはその目的物の全部を完成して相手方に引渡した日、物の引渡しを要しない請負契約にあってはその約した役務の全部を完了した日の属するの事業年度の益金の額に算入することとされています(法基通2-1-5)。
請負による収益の額は、別に定めのあるものを除き、工事完成基準又は役務完了基準により損益を計上することになりますが、建設工事等の場合において、最終目的物の全部が完成していないときにおいても、次に掲げるような事実がある場合には、その事業年度においてその引渡した建設工事等の量又は完成した部分に対応する工事収入、つまり、次に掲げるような、部分的に完成して引渡しを了したと認められるときは、その引渡しをした部分ごとに完成基準を適用することとされています(法基通2-1-9)。
(1)一の契約により同種の建設工事等を多量に請け負ったような場合で、その引渡量に従い工事代金を収受する旨の特約又は慣習がある場合
(2)1個の建設工事等であっても、その建設工事等の一部が完成し、その完成した部分を引渡した都度その割合に応じて工事代金を収入する旨の特約又は慣習がある場合
ご質問の場合は、工程ごとに請求書を提出し、翌月に請求額の80%を入金するということですが、一定の工程が完成した都度引渡しをし、引渡した都度その割合に応じて工事代金を収入する特約又は慣習があるかどうかにより判断することになります。

この例では、電気工事業でしたがソフトウェアの開発などの際にも参考になる相談だと言えます。