企業をはじめる場合、源泉税の制度は知っておくように言われました。源泉徴収とはどんな制度ですか?
2013 / 01 / 31
Ⅰ 源泉徴収制度の意義所得税は、所得者自身が、その年の所得金額とこれに対する税額を計算し、これらを自主的に申告して納
付する、いわゆる「申告納税制度」が建前とされていますが、これと併せて特定の所得については、その所
得の支払の際に支払者が所得税を徴収して納付する源泉徴収制度が採用されています。
この源泉徴収制度は、①給与や利子、配当、税理士報酬などの所得を支払う者が、②その所得を支払う際
に所定の方法により所得税額を計算し、③支払金額からその所得税額を差し引いて国に納付するというもの
です。
また、復興特別所得税においても、平成25 年1 月1 日から平成49 年12 月31 日までの間に生じる所得の
うち、所得税の源泉徴収の対象とされている所得については、所得税を徴収する際に、復興特別所得税を併
せて徴収し、徴収した所得税と併せて納付する源泉徴収制度が採用されています。
この制度により源泉徴収された所得税及び復興特別所得税の額は、源泉徴収だけで課税関係が終了する源
泉分離課税の利子所得などを除き、最終的にはその年の年末調整や確定申告によって精算されます。
Ⅱ 源泉徴収義務者
源泉徴収制度においては、源泉徴収に係る所得税や復興特別所得税を徴収して国に納付する義務のある者
を「源泉徴収義務者」といいます。源泉徴収の対象とされている所得の支払者は、それが会社や協同組合で
ある場合はもちろん、学校、官公庁であっても、また、個人や人格のない社団・財団であっても、全て源泉
徴収義務者となります。
ただし、常時2人以下の家事使用人のみに対して給与等の支払をする個人が支払う給与等や退職手当等、
税理士報酬などの報酬・料金等については、源泉徴収する必要はありません。
Ⅲ 源泉所得税及び復興特別所得税の納税地
源泉徴収義務者が源泉徴収した所得税及び復興特別所得税は、その納税地の所轄税務署に納付することに
なります。この場合の納税地は、原則として、源泉徴収の対象とされている所得の支払事務を取り扱う事務
所や事業所等のその支払の日における所在地とされています。
なお、その支払事務を取り扱う事務所等の移転があった場合には、移転前の支払に対する源泉所得税及び
復興特別所得税の納税地は、移転の届出書に記載すべき移転後の事務所等の所在地とされています。
Ⅳ 源泉徴収をする時期
所得税及び復興特別所得税の源泉徴収をする時期は、現実に源泉徴収の対象となる所得を支払う時です。し
たがって、これらの所得を支払うことが確定していても、現実に支払われなければ原則として源泉徴収をする必
要はありません。
Ⅴ 源泉徴収をした所得税の納付
1 納付期限
源泉徴収義務者が源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税は、原則として、その源泉徴収の対象とな
る所得を支払った月の翌月10日までに納付しなければならないことになっています(所法181ほか)。
なお、この納付期限の日が日曜日、祝日などの休日や土曜日に当たる場合には、その休日明けの日が納
付期限となります。
この納付期限までに納付されない場合には、原則として源泉徴収義務者は延滞税や不納付加算税などを
負担しなければならないことになります。
2 納期の特例
給与等の支給人員が常時10人未満である源泉徴収義務者については、「源泉所得税の納期の特例の承認
に関する申請書」を提出してその承認を受けることにより、給与等や退職手当等、税理士等の報酬・料金
について源泉徴収した所得税及び復興特別所得税を次のように年2回にまとめて納付する、納期の特例の
制度が設けられています。
なお、この承認申請書を提出した日の属する月の翌月末日までに税務署長から承認又は却下の通知がな
い場合には、その申請月の翌月末日において承認があったものとされ、その申請月の翌々月の納付分から
この特例が適用されます。
(注)1 納期の特例の対象は、次に掲げるものに限られます。
① 給与等及び退職手当等(非居住者に支払ったこれらのものを含みます。)について源泉徴収をした所得税及び復
興特別所得税
② 弁護士(外国法事務弁護士を含みます。)、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、
弁理士、海事代理士、測量士、建築士、不動産鑑定士、技術士等に支払った所得税法第204条第1項第2号に掲げ
る報酬・料金について源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税
2 この申請書が郵便又は信書便により提出された場合には、その郵便物又は信書便物の通信日付印により表示され
た日に提出されたものとみなされます
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