なぜ?会社から無利息でお金を借りることはできないのか?

2017 / 08 / 22

起業・創業を支援する品川区の税理士・ベンチャー支援税理士法人が起業を検討する方に向けてのコラムです。

今回のテーマは、「なぜ?会社から無利息でお金を借りることはできないのか?」です。

税務調査では、社長に対する貸付金は調べられます。

理由は、社長に対して貸付けは無利息での貸し付けはダメで、

この無利息分は、社長に対して実質的な給料があったとして課税されるためです。

例えば、

会社が銀行から1億円を2%の金利で借りたとします。

このお金を社長個人に全額無利息で貸付けたとすると、

会社が支払う利息分が、会社の必要経費になりますが、この利息分の収入がないため、

単に会社の経費となるだけで、収入を上げることが目的に会社としては、経済合理性がないこととなります。

そこで、この利息分は社長に対する給料とされてしまうのです。

法人税の基本通達(国税内部での法律の取り扱い)では、

(債務の免除による利益その他の経済的な利益)

9-2-9 役員給与に規定する「債務の免除による利益その他の経済的な利益」とは、次に掲げるもののように、法人がこれらの行為をしたことにより実質的にその役員等に対して給与を支給したと同様の経済的効果をもたらすものをいう。

(7) 役員等に対して金銭を無償又は通常の利率よりも低い利率で貸し付けた場合における通常取得すべき利率により計算した利息の額と実際徴収した利息の額との差額に相当する金額

つまり、通常の金利より低い利率での貸し付けは、給料にするということです。

したがって、今回の例では2%の金利分を社長からもらわないといけないのです。


また、所得税法の基本通達では、次のような例外を作っています。

(課税しない経済的利益……金銭の無利息貸付け等)

36-28 使用者が役員又は使用人に対し金銭を無利息又は36-49により評価した利息相当額に満たない利息で貸し付けたことにより、その貸付けを受けた役員又は使用人が受ける経済的利益で、次に掲げるものについては、課税しなくて差し支えない。

(1) 災害、疾病等により臨時的に多額な生活資金を要することとなった役員又は使用人に対し、その資金に充てるために貸し付けた金額につき、その返済に要する期間として合理的と認められる期間内に受ける経済的利益

(2) 役員又は使用人に貸し付けた金額につき、使用者における借入金の平均調達金利
(例えば、当該使用者が貸付けを行った日の前年中又は前事業年度中における借入金の平均残高に占める当該前年中又は前事業年度中に支払うべき利息の額の割合など合理的に計算された利率をいう。)など合理的と認められる貸付利率を定め、これにより利息を徴している場合に生じる経済的利益


では、借入のない会社ではどうすればいいのでしょうか?

やはり、所得税の基本通達で次のように定めています。

(利息相当額の評価)

36-49 使用者が役員又は使用人に貸し付けた金銭の利息相当額については、当該金銭が使用者において他から借り入れて貸し付けたものであることが明らかな場合には、その借入金の利率により、その他の場合には、貸付けを行った日の属する年の租税特別措置法第93条第2項《利子税の割合の特例》に規定する特例基準割合による利率により評価する。

この特例基準割合 平成29年1月1日〜平成29年12月31日 年1.7%

とされています。

つまり、この利率で利息をもらいなさい、ということです。


更に、銀行から融資を受ける場合にも注意が必要です。

銀行の融資は、融資で調達するお金の利用目的を最も気にします。

例えば、運転資金で必要となる・設備を購入するためにお金が必要となる、

ということで銀行は融資します。

ところが、社長に対する貸付金は、銀行は会社に対して融資したはずが、

実は、社長個人にお金が流れる結果になり、目的外にお金の利用したと言えます。

これを一番銀行は嫌うのです。

したがって、税務的にも、融資に関しても注意が必要となるのです。