なぜ?月商の3か月分のお金を貯めることは難しいのか

2017 / 05 / 21

起業・創業を支援する品川区の税理士・ベンチャー支援税理士法人が起業を検討する方に向けてのコラムです。

今回のテーマは、「なぜ?月商の3か月分のお金を貯めることは難しいのか ?」です。

会社の究極的な目的は何でしょうか?

実は、お金を1円でも増やすことになります。

手元のお金を1円でも増やせが倒産するリスクは1円少ない会社より少なくなります。

また、新しい投資をしたいと考えたとき、手元のお金が1円少ない会社より投資できる可能性が高くなります。

結局は、手元に1円でも多くお金を増やすことが会社の究極の目的となるのです。

では、会社のお金はどうやって入ってくるでしょうか?

お金が入ってくるのは、次の3つしかありません。

1.株主より出資してもらう、つまり増資です。

2.銀行や社長・友人からの借り入れになります。

3.モノやサービスを売って入ってくる売上です。

 
1.株主より出資してもらう場合

会社はだれもものかというと、代表者のものではなく実は株主のものです。

つまり、自分が代表者になって会社のために懸命に働いて、会社に利益を上げて一生懸命残しても、株主が赤の他人であった場合

最終的にはその赤の他人のお金を増やしていることになるのです。

したがって、上場を目指すなどの一部の例外を除いて、株主はほぼ100%代表者である個人になります。

つまり、増資をして資本金の増やすのは、結局自分のお金を会社に対して出資するしかないのです。

 
2.銀行等から借り入れの場合

銀行は、あなたが創業した会社の収益性をみて融資していると思いますか?

実は、銀行はあなたの会社の業務に興味があるわけではないのです。

では、何を見ていると思いますか?答えは簡単です。

銀行が貸したお金が利息も含めてしっかり返済されるかどうかを見ているのです。

つまり、会社が儲かる業種だから貸してくれるのではなく、返済が大丈夫そうだから貸してくれるのです。

銀行が融資を判断する目安は、会社の売上金額の規模で、

通常月商の3か月分が目安で、3か月を超えると融資が黄色信号、6か月で赤信号。

ということになります。

つまり、銀行からお金を借りていくのにも限界があるのです。

 
3.売上による場合

したがって、手元のお金を増やすには、売上を増やすしかないのです。

しかし、売上をただ上げればいいのではなく、かかるコストを抑えて利益を出して初めてお金が増えるのです。

 
ずいぶん遠回りしましたが、今回の題材に入ります。

「なぜ?月商の3か月分のお金を貯めることは難しいのか ?」です。

結局、手元のお金を増やすには売上を増やすしかありません。

しかも、経費を抑えて利益を増やすしかないのです。

それでも、お金を増えないのです。

 
1.利益に対しては税金が課税される

法人に対する課税は、大分低くなりました。

中小企業で利益が800万円以下の場合、約税率は24%となります。

ただ、税金を納税してから半年後に中間納税として前年の納税額の2分の1を納税します。

つまり、仮払いの税金を含めると36%は、税金として利益から無くなってしまうのです。

 
2.売掛金の問題

商品を納品してもすぐにお金をもらえるわけではなく、30日から45日後の入金となります。

つまり、月商の1から1.5か月分は利益を上げてもお金にならないのです。

 
3.在庫の問題

商品を売るためには、同業他社よりできるだけ多くの在庫を持っていることがお客様の利便性向上になります。

商品の幅を少なくして、専門性を高めてもその専門分野でのアイテム数や色やサイズを多くする必要がでるため

在庫はやはり多くなります。

在庫は、業種にもよりますが、ほぼ月商分の在庫を持つことは必要でしょう。

つまり、月商の1か月分のお金は、商品を仕入れていてお金を支払っていても売上にはならないため

資金として眠ってしまうのです。

 
4.投資の問題

商売を始めるに際してどんなに抑えてもいろいろな投資が必要となります。

飲食店では一般的に1000万円から1500万円は最低必要でしょう。

オフィスで商売する際も、設立の費用や各種の準備で最低でも100から150万円は必要となります。

また、商売を続けていくと新しいオフィスを借りる、ソフトウェアを購入するなどの資金が必要となります。

この投資のお金も結局は、売上のお金から購入するか、

銀行から一時的に借りて購入し、その返済は売上から返すことになります。

 
<お金の増加の公式>

① 売上入金

② 経費

③ 法人税

④ 掛け売り

⑤ 在庫

⑥ 設備投資又は銀行返済

⑦ ①-②-③-④-⑤-⑥=お金の増加

 
この公式を見ればお金を増やすことが非常に難しいことを理解できせんか?

我々と一緒に「しっかり貯金経営を目指して」頑張りませんか?