なぜ?資金繰りが厳しくなってしまうのか?

2018 / 09 / 25

起業・創業を支援する品川区の税理士・ベンチャー支援税理士法人が起業を検討する方に向けてのコラムです。

今回のテーマは、「なぜ?資金繰りが厳しくなってしまうのか?」です。

・売上目標
・粗利益改善
・固定費削減
の結果、粗利益に対する経常利益が10%を達成できたとしましょう。

例えば、売上1億円の会社で、粗利益率80%の8000万円。
この10%が経常利益として残るわけですから800万円が経常利益となります。
法人税の負担がありますので、税金控除後で7割の560万円です。

実は銀行の返済がこの範囲内になっていれば、借入金の返済が順調に進むのですが、
実はなかなかそうなっていない企業が沢山あります。

理由は、運転資金の調達が短めの返済期間になっていることが理由です。

本来、
・設備投資の資金は8~10年の返済期間
・運転資金は、1年ごとに借換えで、金利のみ支払う
ということになっていました。
ただ、不良債権が増加した15年ぐらい前、この運転資金の貸し付けは、金利しかとっていないので、実際には返済されない資金ではないか?
と金融庁が考え、この運転資金の1年ごとの借換えが禁止になってしまったのです。

そのため、この運転資金についても返済を始めた結果、借入金があるどの企業も資金繰りが厳しくなってしまったのです。

例えば、先の1億円の会社は月商で約900万円です。
この会社の入金までの期間が2ヵ月だとすると、約1800万円の運転資金が必要となります。
この1800万円を3年返済で借りた場合、年間600万円の返済が必要となり、この返済だけで、利益からの返済が終わってしまうのです。

つまり、これ以外に設備投資のお金が3000万円あった場合の、この設備投資に対する返済ができないこととなります。

昔のように設備投資は元利返済・運転資金は金利のみ
と分かれていたら、経営者も分かりやすいのですが、いずれの借入も返済があると、
どの借入が運転資金で、どの借入が設備資金か分からなくなってしまうのです。

昨年からこの辺の問題に金融庁も気付き、運転資金の借入(俗に「タンコロ」と言います。)がオッケイになって来ています。

返済金額から利益計画を考えて、売上目標を立てるわけですから、借入金の返済条件の見直しも大事な計画になります。