なぜ?社長は消費税の仕組みをしらないとダメなのか?

2016 / 07 / 19

起業・創業を支援する品川区の税理士・ベンチャー支援税理士法人が起業を検討する方に向けてのコラムです。

今回のテーマは、「なぜ?社長は消費税の仕組みをしらないとダメなのか?」です。

〈1〉消費税の基礎知識
 
消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して広く公平に課税される税で、消費者が負担し納税者が納付します。

生産、流通などの各取引段階で二重三重に税がかかることのないよう、税が累積しない仕組みが採られています。

1.課税される取引

国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡、資産の貸付及び役務の提供に課税されますので、

商品の販売や運送、広告など、対価を得て行う取引のほとんどは課税対象となります。

外国から商品を輸入する場合も輸入のときに課税されます。

2.非課税取引

次のような取引は、消費税の性格や社会政策的な配慮などから非課税となっています。

①土地の譲渡、貸付けなど

②印紙・住民票・戸籍抄本等の行政手数料

③利子・保険料など

④住宅の貸付など

 
3.納税義務者(課税事業者)

その課税期間(個人事業者は暦年、法人は事業年度)の基準期間(個人事業者は前々年・法人は前々事業年度)における課税売上高が1000万円を超える事業者の方は、消費税の納税義務者(課税事業者)となります。

◎例:個人事業者の場合の基準期間と課税期間

平成26年の課税売上高が1000万円超の場合には、平成28年は課税事業者となります。

 
4.免税事業者

基準期間の課税売上高が1000万円以下の事業者(免税事業者)は、その年(又は事業年度)は納税義務が免除されます。

なお、免税事業者でも課税事業者となることを選択することができます。

 
5.税率

消費税の税率は6.3%(地方消費税と合わせた税率は8%となります。)

 
6.消費税(国税)の計算
  • 原則(一般課税)
課税期間における課税売上に係る消費税額から、課税仕入れ等に係る消費税額を控除して、納付する消費税を計算します。

(課税売上高×6.3%)-(課税仕入高×6.3/108)=消費税額

★課税仕入れ等に係る消費税額を控除するには、帳簿及び請求書等の保存が必要です。

(図)消費税及び地方消費税の負担と納付の流れ

製造業者  売上 50,000 消費税① 4,000

国に納付税額A

=4,000

 
卸売業者 売上 70,000 消費税② 5,600

仕入 50,000 消費税①4,000

国に納付税額B

②‐①=1,600

 
小売業者 売上 100,000 消費税③ 8,000

仕入 70,000 消費税②5,600

国に納付税額C

③‐②=2,400

 
消費者

支払 108,000

消費者が負担した消費税

8,000

製造業者・卸売業者・小売業者が国に納めた税金と一致します。

4,000+1,600+2,400=8,000

 
・簡易な計算方法(簡易課税制度)

課税期間における課税売上に係る消費税額に、事業区分に応じた一定の「みなし仕入率」を掛けた金額を

課税仕入れ等に係る消費税額とみなして、納付する消費税額を計算します。

(課税売上高×6.3%)-(課税売上高×6.3%×みなし仕入率)=消費税額

 
◇みなし仕入率

第1種事業(卸売業) 90%

第2種事業(小売業) 80%

第3種事業(製造業) 70%

第4種事業(その他)飲食業・金融業など 60%

第5種事業(不動産業を除くサービス業)運輸・通信・サービス業 50%

第6種事業(不動産業) 40%

この制度は、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者が、事前に届出書を提出している場合に選択できます。

 
地方消費税の計算

消費税(国税)×25%=地方消費税

 
7.確定申告・納付

個人事業者は翌年の3月末日までに、法人は課税期間の末日の翌日から2カ月以内に、消費税と地方消費税を合わせて税務署に申告して納付します。

消費税は、法人税などと違い黒字・赤字に関係なく納税が必要となります。

納税額を予想して、納税準備預金として積立てることが非常な重要な税金です。

消費税の計算の仕組みは、基本中の基本です。

しっかり押さえて、納税の準備をしておきましょう。