教えて!決算書の儲けと通帳の残高でなぜ状況が違うの?
2019 / 03 / 25
起業・創業を支援する品川区の税理士・ベンチャー支援税理士法人が創業した社長のよくある相談をお答え致します。今回の相談は、「決算書の儲けと通帳の残高でなぜ状況が違うの?」です。
Q 会社経営者の社長から次のような相談を受けました。
1期目の決算が終わって、利益が500万円だったと説明を受けましたが、預金の残高は、
そこまで増えた実感がありません。
これでも利益が出たとして納税する必要があるのですか?
A 損益計算書の利益とお金の動きである資金収支計算(=キャッシュフロー計算書といいます。)は異なります。
(解説)
初歩的な質問のようですが、実は一番疑問が多く、なかなか理解が難しい質問です。
税務申告も資金の動きだけで税の計算や会計の損益ができれば、経営者の理解もできるのですが、
このような仕組みになっていません。
資金の動きだけで法人税の利益に対する税金の計算をするという仕組みにすると、簡単に利益調整ができてしまうため、売上である収入の計上のタイミングである売上計上基準と、
費用の計上のタイミングである費用計上基準は決められているのです。
特に税務上では上記の基準を
・売上は請求できる権利が確定した時期
・費用は支払わなければならない債務が確定した時期
に計上することをベースに考えています。
例えば、3月の通帳の入出金通りに損益を上げていくと
3月分の売上の入金と4月の家賃の支払い、2月分の給与の支払いが同居する場合があります。
3月に終わった仕事の売上が3月に入金されていますが、
3月に働いてもらった給料は、4月に支払うため、売上に対応していないのです。
また、家賃は、4月分の家賃を1か月前に支払うため、ばらばらの内容ものが入っていることとなります。
逆に、3月に入金してもらえるはずのものを4月にずらして入金してもらえば、3月の売上はゼロになり、
大きな赤字にすることができるわけです。
したがって、3月に仕事が完了して売上の請求をできるものを3月の売上にして
3月に働いてもらった給料が4月に支払うとしても、払うことが確定している3月の費用として
売上と経費の計上するタイミングを決めて、儲けの計算のルールを作っているのです。
ただ、一般的には、入金までの期間が長く、支払いの期間が短いのが一般的です。
3月中の仕入れや外注費の支払いは、4月末までに、
3月中の売上の入金は、5月10日など支払い期間より長いケースがあります。
このような場合に、今回の社長のような質問が生じるのです。
したがって、
入金は1日でも早く、支払いは1日でも長くする
このことを心掛けてビジネスモデル・取引条件を考えることが大切なのです。
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