教えて!ストックオプションと新株予約権

2019 / 05 / 22

起業・創業を支援する品川区の税理士・ベンチャー支援税理士法人が創業した社長のよくある相談をお答え致します。

今回の相談は、「ストックオプションと新株予約権?」です。

ストックオプションとは、新株予約権を活用することなのです。

令和元年5月21日の日経新聞にこんな記事が出ていました。

「大学発スタートアップ、知財取得に新株予約権」

大学発スタートアップが大学から知財在債権のライセンスを取得する対価に新株予約権を活用する

という内容の記事です。

つまり、大学の知財を活用させてもらう報酬の対価を金銭ではなく、新株予約権を付与するというものです。
具体的には、経営陣が大学側に100万円と新株予約権で対価を支払うと書かれています。

新株予約権とは、一定の定められた期間内に、無償又は有償で資金を払うことでこの会社の株式を取得できる権利のことです。
非上場の会社の場合にはイメージし難いので、上場会社を例に説明しますと、新株予約権の権利を行使して、株式を取得し、その株式を証券会社で処分すれば、現金を受け取れるわけです。
これが現金に代わることが報酬となる、という意味になります。
上記の例では、現状現金がない大学のスタートアップが将来上場する目標で起業したため、現金で支給する代わりに、新株予約権という実質将来株になるものを渡して対価を支払ったわけです。

では、もらう側はどうなるのでしょうか?
新株予約権は、それ自体で将来もしかしたら凄い価値になる株式に化ける可能性を秘めているので、一定程度の価値があることとなります。
そこで、会社が無償でもらい受けた場合には、この新株予約権をもらったものを収益に計上する必要が生じます。
一方、個人の場合には、新株予約権の価値が幾らか現段階では分からないため、付与されただけでは課税せず、実際に権利を行使して株式を会社からもらった段階で課税することとなっています。

ただ、新株予約権は本来、このようなインセンティブの対価で払うものではなく、増資する予定の会社の手付としてもらい、増資時に残りの金額を払い込むのが本来の新株予約権なので、課税の問題などないのです。

ストックオプションは、新株予約権を無償でインセンティブ(報酬)として活用するため、難しい税務上の取扱いが発生してしまうのです。
ただし、会社法も税法上もストックオプションという言葉は存在せず、新株予約権というのが正式な名称となります。
このことも覚えておいていただきたい点です。