29年改正 事業承継税制の見直しが行われました!
2017 / 06 / 04
起業・創業を支援する品川区の税理士・ベンチャー支援税理士法人が創業した社長へお届けする税務のプチ情報です。今回のテーマは、「29年改正 事業承継税制の見直しが行われました!」です。
まずは、事業承継税制とは? の話をします。
事業承継税制とは、非上場会社の株式を相続でもらう場合にその相続税の負担を軽減するために作られた制度です。
つまり、長年事業を真面目に続け、会社内に利益を留保すると会社の財産から負債を控除した差額が生じます。
たとえば、現金預金5億円、銀行借入1億円となっている会社があったとします。
この会社の株式を父親から相続で取得すると、4億円の財産を相続したことになるのです。
ただ、この4億円は、自分のお金ではなく会社のお金であり、この相続で引き継いだ4億円に対する納税が、
仮に1億円だとすると、この1億円の支払いが難しいのが現状です。
そこで、引き継いだ人が将来にわたってこの事業を続けていく予定があるのなら、
★この相続税の支払いを延期→条件がそろえば免除
してくれる制度が事業承継税制となります。
<詳しくは 国税庁のホームページ>
この制度は一見すると素晴らしいと思うのですが、延期した相続税を納付しなければならない場合として次のような条件があります。
つまり、次のいずれかに該当することとなった場合には、相続税の全部又は一部を納付しなければなりません。
イ 申告期限後5年以内に、経営承継人が代表権を有しないこととなった場合
ロ 申告期限後5年間の平均で、相続開始時の雇用の8割を維持できなかった場合
ハ 申告期限後5年以内に、経営承継人等が保有する議決権数の合計が、50パーセント以下となった場合
ニ 申告期限後5年以内に、経営承継人等と特別の関係がある者のうちの1人が、経営承継人等を超える議決権数を有することとなった場合
ホ 経営承継人等が株式等の全部又は一部を譲渡等した場合
へ 会社が解散をした場合又は解散をしたとみなされた場合
ト 会社が資産保有型会社又は資産運用型会社で一定のものに該当することとなった場合
チ 会社の事業年度における総収入金額(営業外収益及び特別利益を除きます。)が零となった場合
では、どうしたら延期した相続税の納税が免除されるのでしょうか?
これが大事ですよね。
・イ 経営承継相続人等が死亡した場合 ・ロ 申告期限後5年を経過した後に、株式等を一定の親族に贈与し、その親族が「非上場株式等についての贈与税の納税猶予」の適用を受ける場合
つまり、事業承継税制を受けた以上は、解散・事業活動の停止・資産管理・運用会社への転用・株式の売却を認めず、
仮に事業活動を中止した場合には延期した相続税を納税する必要があり、
経営者が死亡するか、次の代に承継する以外は免除しないという制度となっています。
しかも、申告期限の翌日から納付することとなった日までの利子の税金まで取られるのです。
このような厳しい制度のため毎年少しずつ、緩和する改正が入っています。
1 災害時等の雇用確保要件(注)等の緩和
①災害による資産の被害が大きい会社、 ②従業員の多くが属する事業所が被災した会社、③災害や主
要取引先の倒産等により売上高が大幅に減少した一定の会社について、雇用確保要件等を緩和します。
2 雇用確保要件の計算方法の見直し
従業員の少ない小規模事業者に配慮し、維持すべき従業員数〔贈与時等の従業員数×80%〕の計
算上、端数を切り捨てることとします。
3 相続時精算課税制度との併用を可能に
贈与税の納税猶予の適用を受ける株式等について、相続時精算課税制度の適用を可能とし、生前贈
与を行いやすくします。
これから創業を考えている方には、全く関係なさそうな話題ですが、知っていて損はないでしょ????
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