なぜ?経営分析が経営に活用できるのか?

2016 / 10 / 12

起業・創業を支援する品川区の税理士・ベンチャー支援税理士法人が起業を検討する方に向けてのコラムです。

今回のテーマは、「なぜ?経営分析が経営に活用できるのか?」です。

まず財務分析の流れを説明します。

① 総資本経常利益率   経常利益÷総資産  目標 10%
一般的な利回り。全部の資産でどのぐらいの利益が計上できているか、という収益性の財務指標

総資本経常利益率が高い ⇒ 資産が効率よく使われている

総資本経常利益率が低い ⇒ 資産が効率よく使われていない。

(例) 100万円÷3,000万円=3%

 
② 総資本回転率   売上高÷総資産

すべての資産でどれだけの売上をあげられてか。  資産規模から考える売上目標が見えてくる。

逆に、大きすぎる売上とならば、過剰な資産投資・運用になっていないか判断する目安ができる。

(例)  資産規模からみる売上目標 3000万円

現実無理なら、資産の中に無駄な投資がないかどうかとなる。

 
③ 売上高経常利益率 経常利益÷売上高

借入金の返済原資となる経常利益は、事業存続のための経費と言える。

現状の経常利益で、銀行返済が可能かどうかの判断が必要となる。

経常利益には、約3~4割の法人税が課税されるため、銀行年間返済金額の1.5倍が、簡単な経常利益の目標と言え、あげられる利益と、あげなければならない利益とには、相当の差があるケースがある。

例) 100万円÷1000万円=10%

借入金 1,500÷10年返済= 150万円

税コストを考えると 150万円×1.5倍 =225万円が目標利益と言える。

 
④ 粗利益率 粗利益÷売上高 (売上高に占める粗利益額の割合)

毎年の粗利益率は減少していないか? 営業が利益率の低い商品・値引きすれば売れば利益率は減少する。粗利益額を改善・増やすには次のいずれかの改善が必要となる。

売上高(粗利)アップ= 顧客数アップ × 商品単価アップ × 売り方(回転数アップ)

例) 500万円÷1000万円=50% (粗利益率)

目標経常利益 125万円 (225万円-100万円)アップの達成には

125万円÷50%=250万円 売上アップが必要

つまり、2.5割アップという目標数値がでてくる。

 


1)経営安定率 経常利益÷粗利益 (粗利益に占める経常利益の割合) 目標20%
経営安定率とは、売上高の減少に耐えられるかではなく、販売数量の減少にどのくらい耐えられるかという意味です。経営安全率の目標が決まると、削減すべき固定費の目標額が決まる。

例)経常安定率 100÷500=20%

100個×20%=20個  つまり、20個の減少までは赤字にならないという意味です。

20%の値引きでは、(800万円―500万円)―400万円=△100万円 赤字!

2) 損益分岐点比率 固定費÷粗利益 (粗利益に占める固定費の割合) 目標80%
損益分岐点比率は、固定費を回収するまでの割合です。(1-経営安定率)

例) 損益分岐点比率 400÷500=80%

売上の80%で固定費を回収できているということです。また、1ヶ月を30日とすると30日の80%の24日で固定費を回収できていることを表します。

3) 固定費生産性 粗利益÷固定費 (固定費で生み出している粗利の割合)目標1.25倍
人・金・モノの経費を投入して生み出している付加価値の表し、粗利の改善目標ともなる。

人件費のみで計算すると、労総生産性ということになる。

例) 500÷400=1.25倍

500÷200=2.5倍  (仮に固定費のうちの人件費200とすると)

1人ごとの売上目標を設定するための数値として利用できる。

1000万円で設立するあなたは、いくらの利益を目標にしますか?