4つの力!お金を守る力を身に付けよう!(その5)

2024 / 01 / 28

起業・創業を支援する品川区の税理士・ベンチャー支援税理士法人が起業を検討する方に向けてのコラムです。

 
①お金を稼ぐ力 ②お金を守る力 ③お金を貯める力 ④お金を増やす力の4つの力を身に付けて、

お金をしっかり貯められる経営を我々は提唱しています。

 
さて、今回のテーマは、「お金を守る力を身に付けよう!(その5)」です。

今回は、在庫の計上を考えてみましょう!

とします。

私はシステム開発企業だから在庫なんてないよ・・・・

という声が聞こえて来そうですが、会計や税務でいう在庫は、一般的な言葉よりも範囲が広いのです。

では、広い意味での在庫とは何かというと、売上に対応しない原価項目です。

たとえば、こんな例で説明してみます。

システム開発を受注しました。

金額は1000万円です。

この開発の期間が6カ月掛かるとします。

12月1日より開発がスタートして、毎月エンジニアに100万円支払っていたとします。

12月のエンジニアへの支払いが100万円

1月~3月も毎月100万円づつ支払って3月末までにトータル400万円支払ったとします。

この会社の決算が3月だっととします。

この外注費の支払いは次のような仕訳になります。

外注費 400万円 / 普通預金 400万円

普通預金   0円 / 売上高    0円

(まだ、システムの開発が終わっていないため)

この企業の決算書を作ってみます。

(損益計算書)

売上高           0円

外注費        400万円

売上総利益     ▲400万円

販売費及び一般管理費 100万円

営業利益      ▲500万円

 
中小企業の会計基準は、一般的に完成基準を採用しています。

したがって、この売上高に対応しない外注費を費用に計上しておくことは、

会社の業績を正しく計上していると言えないのです。

この外注費は次のような処理が必要となります。

仕掛品 / 期末仕掛高  400万円

 
この処理をすることで、来期に費用を振り替えることとなります。

これに従って決算書を作り直すと次のようになります。

(損益計算書)

売上高       0円

外注費     400万円

期末仕掛高  ▲400万円

売上原価       0円

販売費及び一般管理費 100万円

営業利益      ▲100万円

(貸借対照表)

仕掛品    400万円

という処理をすることとなります。

 
翌期になって5・6月に100万円を2回支払いました。

外注費 200万円/ 普通預金 200万円

完成したシステムを納品しましたので、売上の請求して入金されました。

普通預金 1000万円 / 売上高 1000万円

これに従って決算書を作ってみます。

 
(損益計算書)

売上高         1000万円

期首仕掛品        400万円

外注費          200万円

期末仕掛品           0円

売上原価         600万円

販売費および一般管理費  100万円

営業利益         500万円

 
このように、在庫という処理をいれることで、この案件の利益600万円を

正しく決算書に反映することができるのです。

 
このように、売上に対応しない材料や商品だけでなく外注費なども棚卸処理する必要が生じるのです。

このようにお金を守る力を身に付けるうえで、この在庫の考え方は非常に大切です。

つまり、決算書を読める力には、在庫の正しい処理と理解が必要となるのです。

 
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