なぜ?簿記で会社の状況がわかるのか?

2016 / 06 / 24

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今回の情報は、「なぜ?簿記で会社の状況がわかるのか?」です。

<1〉 まず、簿記上の取引とは
簿記は、帳簿記入の略語とも言われていますが、何を帳簿に記入するのかというと、

資産・負債・資本に増減変化を与える事実を記入していくのです。 それを簿記上の取引といいます。

つまり簿記上の取引だけを記帳していくのです。

一般的に「取引」というのは、様々な使い方をされています。

「取引しましょう。」 「OK!」というのは、なにかを交換するようなときでしょうか。

「きょうは大きな取引が出来たよ!」というのは、商談がまとまったようなときですね。

しかし、簿記上の取引というのは、事業の資産・負債・資本に増減変化を与える事実ですから

商談がまとまって契約を取り交したといっても、まだそれだけでは簿記上の取引にはなりません。

商品が受け渡されたとか、代金が決済されたときになって始めて簿記上の取引になります。

一般的には取引といっても簿記上では取引にならないものがあるのです。

逆に、簿記上では取引といっても、一般的には取引といわないものもあります。

例えば、火災や盗難などです。

しかし、火災や盗難は資産が減少するので、帳簿には記入しなければなりません。

つまり、簿記上の取引になるのです。

〈2〉 企業の財産とはなにか?
①資産

例) 現金・建物・自動車・コンピュータ・書庫・商品

こういったものは、財産として、よくわかりますね。これらを資産といいます。

ただし、簿記でいう資産の中にはこのような目に見えるものばかりではないのです。

たとえば、他人にお金を貸した場合、資産の現金が減りますが、簿記では

同時に返してもらう権利が増えると考えるのですが、この権利も資産のうちに含めるのです。

つまり、目に見えないものも資産になるわけですね。

・お金を貸したら現金が減る

返してもらう権利が増える→これも資産

したがって、

資産=目に見える財産(現金など)+目に見えない権利

ということになります。

②負債

例)借金・支払手形

お金を借りると資産である現金が増えますが、同時に返済しなければならない義務も増えます。

・お金を借りたら現金が増える

返済する義務が増える→この返済する義務のことを負債といいます。

広い意味でいうと、負債も資産と同じように財産の内だといえます。

つまり、「財産の増減変化を記録する」というときの財産には、資産と負債があるということです。

③資本

財産には、資産と負債があるということでしたが、

この資産と負債の差額を資本といいます。正味の財産ということです。

資産-負債=資本(純資産) という関係です。

・資産=財貨と権利

・負債=支払う義務

・資本(純資産)=正味財産

会社の資本金という言葉を聞くと思いますが、この資本金は資本を表す言葉(勘定科目)の一つです。

ただし資本も、権利や支払う義務と同じように、目には見えません。

だから、資本金というお金がどこかにおいてあるわけではないのです。

 
〈3〉仕訳(しわけ)とは何をすることなのか?
 「簿記上の取引」が発生すると、それを帳簿に記入していきますが、記入の際は、複式簿記の考え方にしたがって取引を二つ以上の取引要素に分けます。

その二つ以上の取引要素を勘定科目で表現して借方(左側)と貸方(右側)に記入します。この一連の作業を「仕訳」といいます。

仕訳の方法

◆例えば、あなたがスーパーマーケットを経営しているとしましょう。

商品としてイチゴを10,000円仕入れて、代金を現金で支払ったとき…

仕入先

お店の財産が変動しますから、これは簿記上の取引になります。

 
この取引を二つ以上の要素に分けて捉えます。何が増えて何が減ったかと考えると分かりやすいでしょう。

何が増えたか?  →イチゴが増えた。

何が減ったか?  →現金が減った。

これを勘定科目に置き換えてみます。

イチゴは「商品」です。 現金は「現金」です

「商品」が増えて、「現金」が減ったということですね。

 
これを借方と貸方に分けて書きますが、このときにルールがあります。

「商品」が増えたときは「借方」に書きます。

「現金」が減ったときは「貸方」に書きます。

借方(商品)10,000/貸方(現金)10,000

ですね。金額は両方に書いておきます。

 
これが仕訳です。勘定科目の使い方として、商品を仕入れたら「商品」が増えたとはしないで、

「仕入」という費用が増えた(発生した)とする方法もあります。

借方(仕入)10,000/貸方(現金)10,000

この方法のほうが一般的です。

 
取引の中には、このように借方と貸方に勘定科目が一つずつのものもありますが、

どちらかが二つ以上になったり、両方とも二つ以上になったり様々です。

ただし、あくまでも一つの取引を借方と貸方の要素に分けているだけですから

借方の金額の合計と貸方の金額の合計は必ず一致します。

 
仕訳のルール

仕訳では勘定科目の種類によって、増加減少ごとに借方・貸方のどちら側に書くのかが決まっています。

 
借方に書く   貸方に書く

資 産 資産の増加  資産の減少

負 債 負債の減少  負債の増加

資 本 資本の減少  資本の増加

収 益収益の取消し  収益の発生

費 用 費用の発生  費用の取消し

 
先ほどの、「商品」が増加・「現金」が減少という取引は、

「商品」と「現金」は両方とも資産の勘定科目ですから、増加は借方で減少は貸方です。

 
資産の増加   資産の減少

借方(商品)10,000/貸方(現金)10,000

 
仕入勘定を使った場合は、

費用(仕入)の増加と資産(現金)の減少ですね。

 
費用の増加(発生)  資産の減少

借方(仕入)10,000/貸方(現金)10,000

 
このように取引を要素に分解して借方と貸方に記入していくわけですが、その組合せは、上の借方要素と貸方要素の組合せになります。

したがって、仕訳をするためにはこのルールを覚えることと、勘定科目を覚えることが必要です。

 
〈4〉 簿記用の帳簿の種類
簿記用の帳簿には、多くの種類があります。

学習上の帳簿と、実務上の帳簿の最も大きな相違点は仕訳帳です。

仕訳帳は、簿記上の日記帳のようなもので、学習上は重要です。実務上はほとんどが伝票を使っています。

また、小さな会社では、現金・預金の出納長を使って経理すると簡単になります。

 
<基本的な帳簿類>

主要簿 仕訳帳 総勘定元帳

補助簿 補助元帳

現金出納帳 得意先元帳

当座預金出納帳 仕入先元帳

売上帳 商品有高帳

仕入帳 固定資産台帳

受取手形記入帳

支払手形記入帳

 
最近の会計ソフトの充実によって、帳簿の具体的な形式はますます多様化しています。

フリーなどの経理ソフトは、すべてを自動でできるように宣伝しています。

ただ、現金や預金などの取引は自動処理が可能ですが、全体の取引数の6割~7割のみで

それ以外は、自動化できないと言えます。

やはり、最低限の簿記の知識は経営者として必要だと言えます。